お問い合わせはこちら

退職後の健康管理

公開日:2023/11/17
更新日:2023/11/17

 就労中は、所属していた会社や当健保からの費用補助などで健康診断を受けたり、健康保持増進のための保健事業サービスを受けていましたよね。退職後はどのように健康管理をおこなっていけばいいのか、少し不安に思っている方もいるかもしれません。

年齢毎に健康課題は変化します

 退職を迎えるころのからだは、体力低下、けが、発病や疾病の重症化など、いろいろな変化が起こりがちです。後期高齢者になったときの生活は、「退職後~前期高齢者」の期間の過ごし方に大きく影響を受けます!


※1 メタボリックシンドローム:内臓脂肪に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさることにより、心臓病や脳卒中などになりやすい病態
※2 サルコペニア:高齢になるに伴い、筋肉の量が減少していく現象。25~30歳ごろから進行が始まり、生涯を通じて進行する
※3 ロコモティブシンドローム:骨や関節の病気、筋力の低下、バランス能力の低下によって転倒・骨折しやすくなることで、自立した生活ができなくなり、介護が必要となる危険性が高い状態
※4 フレイル:要介護状態に至る前段階として位置づけられるが、身体的脆弱性のみならず精神心理的脆弱性など多面的な問題を抱えやすく、自律障害や死亡を含む健康障害を招きやすいハイリスク状態

退職後から気を付けたい病気

① 各種がん

 60歳以上の死因別死亡率が高い疾患に、悪性腫瘍があります。悪性腫瘍の原因はまだ明らかになっていない部分も多くありますが、ウイルスや遺伝の他、喫煙や塩分・脂質のとりすぎ、運動不足などの生活習慣が関係しているといわれています。がん検診を受け、早期発見・適切な治療に努めるだけでなく、生活習慣の改善を引き続き心がけることも重要です。

◆がんの危険因子といわれているもの

  • 喫煙、受動喫煙
  • 運動不足
  • 多量飲酒
  • 野菜・果物不足
  • 肥満
  • 塩分のとりすぎ

◆国の推奨するがん検診


参考:厚生労働省「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(平成28年一部改正)」
※1  胃がん検診の胃部エックス線検査については、当分の間、対象者を40歳以上、受診間隔を1年に1回としても差し支えないとされています。
※2  肺がん検診の胸部エックス線検査については、労働安全衛生法上の検診を受ける方は1年に1回受ける必要があるため省略できません。


 当健保では、国が推奨するがん対策と同様に、有効性・安全性の確認された科学的根拠に基づく検診の実施を目指しています。
国立がん研究センターがん対策研究所検診研究部長 中山富雄先生に、がん検診についてわかりやすく解説いただきましたので、
こちらもぜひご確認ください。

 がん検診は症状のない人が対象です。受ければよいというわけではなく、受けることによる不利益もあります。利益と不利益を理解し、受診しましょう。症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。



② 循環器疾患

 60歳以上の死因別死亡率は、循環器に関連した疾患も高くなります。循環器に関連した疾患は、生活習慣に起因することが多いです。
健康診断をしっかりと受け、身体の状況を確認し、改善すべき生活習慣を見つけましょう。
もし、受診が必要だと判断された場合は、適切な治療を受けましょう。



③ ロコモティブシンドローム

 運動器の障害をきっかけに日常生活の自立度が下がりやすく、要介護の原因として現在注目されています。運動習慣を持ち、今ある筋力を保つことが大切です。

◆ロコチェック

✅ 片脚立ちで靴下がはけない
✅ 家の中でつまづいたりすべったりする
✅ 階段を上がるのに手すりが必要である
✅ 家のやや重い仕事が困難である(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)
✅ 2㎏程度の買い物をして持ち帰るのが困難である(1リットルの牛乳パック2個程度)
✅ 15分くらい続けて歩くことができない
✅ 横断歩道を青信号で渡り切れない

 ひとつでも当てはまれば、ロコモティブシンドロームの心配があります。便利な移動手段が多い現代社会では、日常生活に支障はないと思っていても、知らない間にロコモティブシンドロームになっていたり、進行していたりするようです。これ以上は進行させないことが大事で、回復可能であることも最大の特徴です。原因は何かを見極め、状態に合わせて適切に対処することが必要です。心配な方は、専門機関へ相談しましょう。



④ 認知機能の低下

 加齢とともに認知機能が低下すると記憶があいまいになったり、時間や場所、人の名前などを正しく認識できなくなったりします。体験したことの一部分を忘れてしまうことは加齢による生理的な「物忘れ」ですが、体験した出来事自体を忘れてしまうようになると、加齢によるもの以上の認知機能の低下「認知症」が疑われます。
 「認知症」は、「軽度認知障害(MCI)」を経て認知症にいたります。「軽度認知障害(MCI)」は放っておくと「認知症」に進行しますが、適切な予防をすることで健常な状態に戻る可能性もあります。早めの対処が必要です。


 認知症の発症・進行は生活習慣病のコントロール状況や運動、食事、そして周りとのコミュニケーションの状況に影響されることがわかっています。充実した暮らしの中で、予防や進行を遅らせるようにしましょう。



体調が変わりやすい退職後・・・メディカルチェックは自分から受けに行く!

 しかし、所属していた会社や当健保から、今まで当たり前に提供があったサービスが利用できなくなり、メディカルチェックが手薄になってしまう可能性があります。ご自身で、その自覚をもって健康管理をしていく必要があります。健康管理をするために各箇所さまざまなサービスを実施しています。ご自身やご家族の健康のために、活用できるサービスを把握し、しっかり利用しましょう。


 「病院に通院しているから安心!」とおっしゃる方がいますが、それは治療している一部分に限られたことです。病気の芽が潜んでいないかをチェックするためには、健康診断が有効です。退職後も年に1回きちんと受け、今後の健康管理に役立てるようにしましょう。
 当健保の各種手続きに関しては、以下のリンクからもご確認いただけます。