子宮頸がんバス健診と健康ブースの取り組み ~子宮頸がん検診の受検率向上~ JR西日本 岡山健康増進センター
公開日:2025/12/24
更新日:2025/12/24
JR西日本では、グループの目指す姿として「私たちの志」を掲げ、安全・安心の追求、社会課題の解決、提供価値の向上に挑戦しています。これらは社員一人ひとりの「心と体の健康」があってこそ、実現できるものと考え、ワークエンゲージメントの向上と健康経営の推進に取り組んでいます。
今回、岡山健康増進センターでは、若年層の子宮頸がん検診受検率向上のためバス検診を導入するとともに、健康ブースを設けて受検時の待ち時間を活用した啓発活動に取り組むなど、がん検診受検率および健康意識の向上に大きく寄与されました。
この度、この取組みが、JR健保の「令和7年度 健康増進の取組みに関する表彰」における「健康管理部門表彰」として表彰されましたので、以下にその取組みをご紹介します。
取組みの目的と概要
JR西日本は「中期健康経営計画2027」における、「健康経営10の目標」の一環として、婦人科系がん検診の受検率向上に取り組んでいます。子宮頸がんは早期発見・早期治療により予後が大きく改善する疾患であり、定期的な検診は女性の健康を守るうえで極めて重要です。しかし、現状では若年層の受検率が十分とは言えず、未受検によるリスクが課題となっています。
【参考】JR西日本の健康経営 ~健康経営優良法人のご紹介~ / JR西日本 健康白書~この課題に対応するため、岡山健康増進センターでは、子宮頸がん検診の受検率向上、35歳未満の受検率の増加、初めてまたは3年以上間隔の空いた受検者の増加、女性社員のヘルスリテラシーの向上を目的として、女性社員一人ひとりが自らの健康に関心を持ち、検診を積極的に受検できる環境を整えることで、子宮頸がんの早期発見・予防を推進しました。
具体的な取組みの内容
がん検診
岡山健康増進センターでは、子宮頸がん検診バスを招致し、女性社員を対象とした「1日がん検診」を実施しました。
この取り組みは、働く女性が安心して検診を受けられる環境を整えることを目的とし、通常の業務に支障なく受検できるよう、職場近くでの検診機会を提供しました。
告知方法としては、定期健康診断の案内時や安全衛生委員会での周知、さらに産業保健スタッフによる面談を通じて受検勧奨を行いました。
また、実施前には予約者全員に対し、検診当日の注意事項や健康ブースの案内チラシを送付し、スムーズな受検と健康意識の向上を図りました。
このような取り組みにより、検診のハードルを下げ、受検率の向上と早期発見・予防の推進を目指しました。
健康ブース
「骨粗鬆症」をテーマに、食事と健康を結びつけた体験型ブースを設置しました。
骨粗鬆症は食生活と密接に関係する疾患であることから、社員が日常の食事を見直すきっかけを提供することを目的としました。ブースでは、以下の多彩なプログラムを実施しました。
・食育SATシステム(食品サンプルを活用):
骨密度向上を目的としたモードに設定し、実際の食品サンプルを使って栄養バランスを学べる体験を提供しました。
・骨密度測定と連動した保健指導:
測定結果に基づき、食育ブースと連携して具体的な改善アドバイスを行えるよう工夫しました。
・乳がんモデルによる触診体験:
早期発見の重要性を理解できる実践的な体験を提供しました。
・握力測定・立ち上がりテスト・肺チェッカー:
筋力や呼吸機能など、健康状態を総合的に確認できる測定を実施しました。
さらに、デジタルサイネージを活用し、厚生労働省の「骨活」動画を投影することで、視覚的に分かりやすく情報を発信しました。これにより、参加者が楽しみながら学び、生活習慣改善への意識を高めることを目指しました。
取組みの結果・振返り
がん検診
岡山エリアでは、女性社員の約1割が子宮頸がん検診バスを利用し、1日がん検診を受検しました。
この取り組みにより、バス検診の前後で子宮頸がん検診の受検率は10.9ポイント向上し、改善に大きく貢献しました。
特に注目すべきは、35歳未満の受検率が16.6ポイント増加した点です。若年層は受検のハードルが高いとされる中、この成果は非常に意義深いものです。
さらに、今回の受検者のうち、頸がん検診が初めての方と、3年以上受検間隔が空いていた方を合わせると54.5%と過半数を超えており、受検機会の提供が潜在的なリスク層へのアプローチに成功したことを示しています。これは、検診バスの導入が「受検しづらい層」にとって貴重な機会となったことを裏付けています。
加えて、実施後のアンケートでは、ほぼ全員が「また機会があれば受検したい」と回答し、取り組みへの満足度が非常に高いことが確認されました。この結果は、検診の利便性向上と心理的ハードルの低減が、受検率向上に直結することを示す好事例となっています。
健康ブース
がん検診受検者のほぼ全員が健康ブースを利用し、測定結果に基づいた保健指導を実施することができました。
特に、食育SATでは実際に食品サンプルを手に取りながら、社員自ら「どのような食事が骨密度向上につながるか」を試行錯誤する姿が見られ、単なる情報提供にとどまらず、主体的な学びを促す場となりました。この取り組みは、社員のヘルスリテラシー向上に大きく寄与したと考えられます。
さらに、骨密度測定と食育SATを連動させることで、測定結果に応じた具体的な改善アドバイスを提供でき、個別性の高い保健指導を実現しました。
加えて、乳がんモデル触診体験や握力測定など、多角的な健康チェックを組み合わせることで、社員が自分の健康状態を総合的に把握できる機会となりました。
今後も、がん検診受検率のさらなる向上を目指すとともに、社員に幅広い健康情報を提供し、特に若年層を含む全社員のヘルスリテラシー向上に努めてまいります。
JR西日本 岡山健康増進センターの皆様、表彰受賞おめでとうございます!
※表彰式は同時受賞の新今宮駅管区と合同開催しました!
新今宮駅管区の表彰紹介記事はコチラ