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肥満改善・重症化予防・健康相談の取り組み ~JR札幌病院保健管理部(JR北海道)~

公開日:2023/03/10
更新日:2023/03/10

JR北海道 JR札幌病院保健管理部は、産業医・保健師(医療職)、薬剤師(職場環境測定業務)、事務(企画担当等)の計24名が所属する、道内各地の全職場の健康管理を担う部門です。JR札幌病院保健管理部では、2021年度から社員7000人全員との健康相談を行う中で、社員の肥満改善の取り組みとして、これまで実施してきた対個人への取り組みを継続しつつ、集団(職場)に対して働きかけることでより多くの肥満者に効果的な支援を実施しました。
その他にも、高血圧の医療機関未受診者を減少させ、適切な自己管理や治療に結びつけるための重症化予防により、社員の健康保持・増進を図るとともに、安心して働ける環境づくりに取り組みました。

モデル職場から始まる肥満改善の取り組み

集団(職場)に対する働きかけを開始

これまで、保健管理部では肥満対策として職場巡視での健康相談、シェイプアップ通信セミナーの開催等、対個人向けを中心に取り組んできました。しかし、より多くの肥満者に効果的な支援を行うためには、集団(職場)に対して働きかけることが必要と考え、また肥満改善についての取り組みはデリケートな課題でもあるため、社員と産業保健スタッフとの関係性もふまえて、肥満率が例年高い4つの職場(計70名)をモデル職場として選定し、職場のキーパーソン(管理者等)を中心とした対集団への取り組みを始めました。


これまでに実施してきた取り組みはコチラをご覧ください。

箇所全体を巻き込んだ取り組み

今回の取り組みは、現在も進行中ですが2021年度から取り組んでいるもので、個人と集団への支援を両立させPDCAサイクルを回した結果、相乗効果が生まれた好事例でした。集団への働きかけとして安全衛生委員会にて肥満改善に関する情報発信や健康相談において肥満対策を目的とした個別支援を中心に行いました。
まずは、管理者へ職場の肥満率等を説明し、今後の方針を話し合った後、安全衛生委員会にて情報発信を行い、現場の管理者、安全衛生委員会のメンバーの理解を得ることができました。これにより、健診後に速やかに職場巡視を調整することができ、肥満改善を目的とした全員面談を計画・実施することができました。管理者とは、社員のモチベーションや普段の取り組みの様子、取り組みの結果など互いの情報を共有しながら取り組みを進めました。

さらに「肥満予防・改善」に向けた質問票を複数作成し、保健師が健康相談を実施する前に管理者から説明・配付・回収してもらい、職場全体での取り組みという意識を個々が感じ取れるように工夫しました。

また、事前に問診票を記入することで、社員が自身の生活習慣を振り返り、そのうえで健康相談を行うため、保健師の助言を受けながら社員主体での目標体重や行動目標決定につながりました。

その他にも、降雪や車移動せざるを得ない環境によって運動量が少ないことや、買い物が限られた場所でしかできない地域性を考慮し、運動に関するパンフレットや食事カロリーブックの配布を行いました。体重計を持っていない社員が多い職場には体組成計を持参し、測定させるなど、体重管理への環境づくりのサポートも行いました。


取り組みの効果や今後の展開

職場全体を巻き込んだ情報発信や健康相談により、管理者だけでなく社員個人も自らが生活改善目標を立てることができるほど意識が高まり、これは大きな変化であると感じています。現時点で体重が減少した社員や、中性脂肪や尿酸値が改善している社員もいますが、2022年度第2回定期健康診断の結果で中間評価、2023年度第1回定期健康診断の結果で最終評価を行う予定です。
また、情報発信で使用した資料については既に他の職場へ展開しています。今後も個別支援と両立させつつ、職場ごとの集団を意識した取り組みを行うことで会社全体の肥満率低下につなげたいと考えています。

高血圧の医療機関未受診者をなくす、重症化予防の取り組み

産業保健スタッフと箇所長が連携して対象社員への働きかけを実施

この取り組みは、高血圧の精密検査対象となった、医療機関未受診者を減少させ、適切な自己管理や治療に結びつけるため、2019年度から継続して行っています。自箇所社員への声掛けを通じて、箇所長が社員一人一人の健康管理を意識する機会にもなっており、産業保健スタッフとの連携も密になり、これまで以上の協力を得ることができました。詳しい取り組みの内容は次の通りです。

  1. 年度当初に箇所長に対して精密検査対象者への医療機関の受診勧奨を依頼する。
  2. 血圧判定が前年度「要生活改善」だった社員に対して、最低2週間分の家庭血圧の記録をつけてもらい、健康診断受診時に持参してもらう。
  3. 医師(産業医)は家庭血圧を考慮し判定する。
  4. 箇所長に対して精密検査対象者への受診勧奨のため対象者リストを提供し概ね3か月以内に受診できるように依頼する。
  5. 精密検査となった社員に対し速やかに依頼書を持参して医療機関での受診につながるように慫慂するほか、未受診者へは看護職から受診の必要性を伝えるなど積極的に働きかける。
  6. 受診結果については箇所長が本人へ聞き取り看護職が報告を受ける。
  7. 職場巡視等の機会に治療継続状況や、必要に応じて高血圧に必要な自己管理の方法についての個別支援を継続する。

社員7000人全員と2年間で健康相談を行う取り組み

各職場での協力を得ながら、「全員と面談を行う」ということが社内に浸透

JR北海道では、産業保健スタッフが2021年度からの2年間で社員7000人全員と面談を行うことを目標に取り組みを進めています。面談では健診の事後措置・健診結果に基づいた受診勧奨、特定保健指導、長時間労働面接、生活習慣の現状把握や指導、メンタルヘルスや禁煙に関すること等、多岐にわたって本人と直接話すことができるため、社員にとっては健康増進のきっかけづくりとなるほか、すでに健康に取り組んでいる社員にとってもサポートを受ける良い機会となっています。これは当社が定めているJR北海道健康経営宣言やJR北海道健康経営計画2023の目標達成において、重要な役割を果たす取り組みとなっています。詳しい取り組みの内容は次の通りです。

  • 面談時間は短い人で5分、長い人で1時間と、相談内容に応じて柔軟に対応
  • コロナ感染のリスク回避や、社員の勤務形態にも柔軟に対応できるよう、iPadを活用してリモート面談も実施
  • 開始当初に現場長会議の中で保健管理部が今年重点的に取り組む目標として「全員面談」を掲げていることについて公表し、社員周知文書により、社員への理解が得られるように工夫
  • 箇所別の全員面談実施率集計結果を現場長会議の中で公表し進捗状況を見える化

健康であるかどうかや、相談を希望するかどうかに関わらず、「全員面談」とすることで健康相談を受ける機会を平等に確保し、社員が自身の健康を振り返りセルフケアしていけるように支援しています。



JR札幌病院保健管理部の皆様ありがとうございました!!