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非対面式通信制の若年者肥満予防教室開催 ~JR札幌病院保健管理部(JR北海道)~

公開日:2022/01/14
更新日:2022/02/02

 JR北海道 JR札幌病院保健管理部では、JR北海道社員の肥満率を改善すべく、特定保健指導の対象とならない40歳未満の若年者を対象とした肥満予防教室を20年ほど前から毎年開催しています。
 歴史ある肥満予防教室ですが、2020年度から2021年度にかけては新型コロナウイルスの流行があり、例年通り開催することが難しい状況でした。
 そこで、感染防止の観点から、非対面式でセルフケアを行いながら自発的に取り組めるようなプログラムを新たに3コース設定し実践したところ、一定程度の効果を得ることができました。その取り組みについて、ご紹介します。

目的

・若年者の肥満率改善
・若年肥満者が自ら肥満症を改善していくことへのきっかけ作り
・若年肥満者が自ら生活改善やモニタリングを行えるプログラムを構築する
・非対面式の教室活動により、受け入れ可能人数を大幅に増やすこと

これまでの肥満予防教室との主な違い

①実施形態を変更
  集団教室としての要素が強い対面式から、通信教育を個別に実施できる非対面式へ変更しました。


②1つのプログラムから3つのプログラムへ拡大
 これまでは全員が1つのプログラムを行っていましたが、3つのプログラムを用意し、参加者が自分に合ったプログラムを自由に選択できるようにしました。
 プログラムには「ベーシックコース」、「プレミアムコース」、「チーム参加コース」の3つがあります。
 
 ベーシックコース:定員無制限とし、自分で肥満改善のための目標を立てセルフモニタリングが主となるコース
 プレミアムコース:定員60名とし、産業保健スタッフにより2週間に1度の資料提供と助言、セルフモニタリングを行っていくコース
 チーム参加コース:これまでの対面式集団教室の要素を残し、互いに刺激し励まし合いながら相乗効果を期待し同一職場内でチームを作りプレミアムコースに準じて行っていくコース


③日程を拡大
 全員が同一日程で2日間のうちからいずれか1日を選択して参加する方式から、健診結果送付時期に合わせ11月から3月までを3期に分けて1期を3か月間と設定し募集を行いました。

④定員を拡大
 対面式で行っていた肥満予防教室の定員は30名でしたが、非対面式のプログラム参加者の定員は3コースのうち1コースを無制限としました。


肥満予防教室の参加率向上の取り組み

・対面式では、事前検査と教室参加当日の合計2日間、職場を離れるため、勤務の調整が難しく、特に同一職場から複数人参加することは困難でした。しかし非対面式にしたことで、勤務調整を行う必要がなくなり、遠隔地勤務者や同一職場からの複数参加が増加しました。
・女性社員も気兼ねなく参加できるようになりました。
・これまで15名前後だった参加者ですが、今回は107名の参加があり、およそ7倍になりました。
上記に加え、社員の健診結果が届いたタイミングで参加案内を行ったことや、期間を拡大して設定したことで参加者の拡大につながったと思います。

重症化予防の取り組み

 昨年度から高血圧の重症化予防に取り組んでおり、肥満に加えて血圧が高値の社員に対しては優先対象者とし、所属する現場長からも参加慫慂を行いました。本人へ若年者ながら健康リスクが高いことを意識してもらうためのリーフレットを送り、参加促進を図りました。さらには体重だけではなく血圧測定結果の記録も促しています。

評価

・プログラムを3コース用意したことで自分に合ったコースを選択できるようになり、モチベーション向上、参加率向上につながったのではないかと思います。
・ベーシックコースの参加者の体重減少者が多く、最大で8キロ減少した方もいました。きっかけさえつかめば減量にも効果が期待できる結果となり、次回のプログラム構築や参加慫慂の大きなポイントとなることがわかりました。また、自己の目標設定が明確で、毎日セルフモニタリングを行い定期的に産業保健スタッフへ提出できた人が体重減少していることがわかりました。
・現場長へ優先対象者を示すことで、重症化予防の取り組みを理解してもらうことができ、保健管理部との連携にもこれまで以上に協力してもらえることとなりました。
・体重を色々な媒体で記録している現状があるため、簡便な方法やkencomアプリの活用など検討中です。これまでは対象者が何かに記録したものを紙に転記して提出をしてもらっていたので、これが面倒という意見もありました。
・参加者に実施したアンケート結果からは、それぞれのコース共に半数以上が今回の取り組み後も「続けていけそう」と回答しており、費用対効果の視点から考えても今回のプログラムにより肥満改善に一定程度の効果があったと考えられます。今後は、減量持続可能性についても検討し、PDCAサイクルを回しながら取り組んでいく予定です。


さらに深堀り!~現場の皆様にインタビューしました~