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笠原先生のさわやかコラム ---vol.63---

公開日:2021/09/28
更新日:2021/09/29

ワクチン接種とその後の世界への期待

JR東日本健康推進センター所長

笠原 悦夫

 今回の話題は地域や職域で進められている、新型コロナウイルスへのワクチン接種についてお話ししたいと思います。

令和3年9月16日首相官邸発表資料より抜粋

 『新型コロナワクチン接種の現況は、一回以上接種が全国民全体の65.3%に実施され、二回完了者は53.1%となった。そのうちで65歳以上の約90%弱が二回完了済み。』

 上記の資料によると、東京パラリンピックが終わった9月中旬時点で、わが国の同ワクチン接種完了者がようやく全体の約5割で、欧米の60%以上と比較してまだまだ出遅れた感があります。
 それでも65歳以上の高齢者に絞ってワクチン接種の効果をみると、感染者数だけでなく、重症者数や死亡率についても未接種者と比較して、格段に抑えられていることが分かっています。一方で気がかりなわが国の課題は、40歳、50歳代の中高年や若年者成人の未接種者の中から感染拡大が進行して、これまで軽症にとどまるとみられていた小児期などの低年齢層にも変異株による重症例が目立ってきていることです。
 このような背景の中で、一刻も早く希望する国民全体にワクチンが行き届き、集団の免疫の獲得を目指すことが求められています。しかし、アレルギーなど様々な事情でワクチン接種ができない、あるいは発熱や痛みなどの自覚症状などが強く、副反応についての恐れから若年成人を中心に回避したいとする人もいることは無視できません。ただ、『不妊になる』、『遺伝子情報が書き換えられる』などの根拠のない情報に惑わされている方も少なくありません。
 厚生労働省や日本医師会からの資料をベースに、信頼のできる情報源から、他人の意見に惑わされずに賢い判断と選択をしてほしいと考えます。私自身、小児科医から産業医となっている身ですが、これまで多くの子どもたちの予防接種に関わった経験から、一般にどんなワクチンでも全く無害、安全なものはありません。個々の体質や何らかの原因不明の要因で、稀に一生に関わる大きな副反応に見舞われることがあるのは事実です。しかし新型コロナウイルス感染に対し、ワクチン接種による集団免疫と重症化リスクの低減が、現時点で私たちができる最善の選択と考えます。
 今後このウイルスへの治療薬で、外来でも汎用されるものが出てくるようになれば、本当に季節性インフルエンザと同等の疾患リスクとなり、初めて人類はこのウイルスを克服できたと言えるかもしれません。いや、やはり人類はウイルスとの共生を許されたというところまでなのでしょうか。新しい世界が見えてくるように、ワクチン接種の普及も含め、今後の治療開発に期待します。

参考となる資料

1)コロナワクチンについて 首相官邸新型コロナウイルス感染症対策ホームページ

https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html

2)新型コロナワクチンについて 厚生労働省ホームページ 健康・医療

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_00184.html